静岡のファイナンシャルプランナー、住宅ローン相談・住宅購入専門FPがモデルハウスのワナに陥る住宅ローンについてお伝えしますね。

「掛川西、26年ぶり夏の甲子園出場!」今年の静岡代表は伝統校の掛川西。県外出身の特待生を集める私立が台頭する中、県立の掛西はレギュラー全員が西部中心の静岡県出身者。久々に本当の静岡県代表という感じです。

突然ですが、あなたに質問です。県の代表として甲子園に出場決定。代表校は甲子園初戦に出場するまでにいくらお金がかかると思いますか?500万円??1,000万円??正解は…

『住宅ローン並みの約3,000万円』

正解は約3,000万円!3,000万円といったら家1軒分の住宅ローンと変わらない額。なぜ、甲子園の初戦までに高額なお金がかかるのか?ですが。

まず、生徒や父兄などの応援バスのレンタル料が1日1台約30万円。基本、全校応援でバスは最大50台までOK。なので30万円×50台で1,500万円。生徒や父兄以外に地元の高校野球ファンも多数参戦します。

次に監督、部長、ベンチ入り選手人数分の旅費や滞在費。ベンチ入りの人数分は主催の朝日新聞社から1人3,000円の補助あり。でも、3,000円では全然足りません。全部員の宿泊費は寄付金頼みです。

さらに甲子園の晴れ舞台ではユニフォーム、ボール、バット、バッグなどの用具も新調。応援席の入場料、メガホン・タオル・帽子などのグッズや記念グッズの製作。飲み物・お弁当代などもすべて寄付金で賄うのです。

『高校のお財布事情は厳しい』

「アマチュアの高校スポーツで1試合に3,000万円以上もかかるなんてクレージー…」と海外の人からは言われています。でも、寄付金が集まらないと足りない分は高校側が自腹を切らないといけない。

県大会終了から甲子園入りするまでは約1週間。優勝後に3,000万円を集めるのはかなり大変なこと。甲子園常連の私立の強豪校などは毎年、県大会が始まるかなり前から寄付金集めをしていますが。

甲子園出場は学校にとって名誉なこと。でも、勝てば勝つほどお金がかかるので高校のお財布事情はかなり厳しいのです。公立校などは地域住民の協力等がなければ資金面で特に大変というのがよくわかると思います。

『異次元のモデルハウス』

甲子園と同様に異次元の話が住宅業界にも存在します。住宅展示場のモデルハウスです。あなたは住宅展示場のモデルハウスがいくらの建物か知っていますか?

CMでもよく流れる大手ハウスメーカーの総合住宅展示場内にあるモデルハウス。メーカーによって多少の差はありますがモデルハウスは建物だけで約1億円!あなたはモデルハウスがなぜ高額なのかわかりますか?

モデルハウスは住むためではなくお客さんに観てもらうための家。3,000万円前後の現実的な家を観てもお客さんの心はまったく動きません。

各ハウスメーカーは他社に負けないよう差別化をするなどお客さんに豪華で素敵な家を見せるために必死です。

お客さんの心を掴むためには外観にものすごくお金をかけたり、特別仕様の特注キッチン、高い天井や広い廊下、玄関など。「何人で住む家なの??」というくらい大きな家を造っているのです。

『モデルハウスから見ると失敗する』

もし、あなたが建物だけで1億円の家を建てる計画なら?モデルハウスはとても参考になるかもしれません。でも、静岡の平均建物価格は約2,800万円。モデルハウスは実際に建てる相場の約4倍近い価格。

1億円の豪華なモデルハウスを観たあとに「私も同じような家を建てたい!」という錯覚になるので3,000万円程度の家では満足できなくなる。冷静さを見失ってしまう。

結果的に理想の家に近づけたくて。建物だけで4,000万円を超えてしまうような身の丈以上の無理した資金計画になってしまうのです。

『無理して住宅ローンを組まない』

予算を上げれば土地・建物の希望も選択肢も増えます。夫婦の年収を合わせれば住宅ローンはたくさん借りられます。身の丈以上の無理した住宅ローンがスタートします。

でも、遅かれ早かれ住宅ローンに追われて日々の生活が苦しくなるようなら?何のために家を建てたのかわからないですよね。

マイホーム購入後に住宅ローンに追われる生活にならないためには..。欲しいものを追加したくても必要以上に家にお金をかけないこと。無理のない住宅ローンを設定する以外に方法はありません。

「今後も同じように給料が上がっていく..」と思わない方がいいです。昔のような終身雇用や年功序列が今後は廃止になっていく。むしろ家を建てれば支出の方が増えていくと思っておくべきです。

最近は、金利上昇や収入減ではないのに物価上昇だけで生活が厳しくなっている人が増えています。住宅ローンを借りすぎているのが最大の理由です。

普通に暮らしているのに住宅ローンが払えなくなる時代になったのです。無理してローンを組まないこと。住宅ローンを借りるのは一瞬、返していくのは35年。借りたあとの生活の方が圧倒的に長いのですから。