静岡のファイナンシャルプランナー、住宅ローン相談・住宅購入専門FPが住宅ローン変動か?固定か?はどうでもいいについてお伝えしますね。
「賃貸と持ち家ならどちらがいいですか?」相談者さんからときどき聞かれる質問。雑誌やメディアでも取り上げられることが多い話題ですよね。
「どちらがいいのか?」というよりも「どちらがお得なのか?」とお金の損得で比較されることがほとんど。老後までのお金の話になるので損得を知りたい!という疑問は当然といえば当然です。
相談者さんから聞かれるたびに私の回答はいつも感じで。「どちらでもいいですよー、あなた次第です!」賃貸も持ち家もお互いにメリット・デメリットがある。「あなたならどちらを好みますか?」としか言いようがありません。
そして、面談時はもちろん、毎日のように聞かれる一番多い質問が「変動金利と固定金利はどちらがいいですか?」というもの。住宅ローンを選ぶときに1番悩むポイントかもしれませんね。
こちらも「どちらがいいですか??」というよりも「どちらがお得ですか?」を皆さん知りたいのだと思います。「変動と固定ならどちらがお得ですか??」に対する答えはすごく簡単。私が何て答えるかというと…。
『住宅ローンを完済してはじめてわかる』
「そうですねー、住宅ローンを完済したときに初めてわかります!!」と答えると皆さん、一瞬フリーズ。でも、マジメな回答で借りるときには変動か固定かどちらがお得か?はわからない、答えようがありません。
つまり、住宅ローンを借りるときには「変動金利と固定金利のどちらがお得か?」の答えは一生出ません。住宅ローンは何千万円もの支払い。「できるだけお得な方を選びたい!」という気持ちはよくわかるのですが…。
借りるときに「どちらがお得か?」がわからない明確な理由があるのをあなたは知っていますか?
『変動金利は総支払額がわからない』
去年から少しずつ上がり始めた変動金利(変動金利の細かい説明は省きます)。今現在、県内の金融機関で借りるときの金利が約0.9%。でも、まだまだ低金利です。
変動金利は経済情勢や世の中の景気に応じて金利が上下します。金利が上がるたびに支払う利息も少しずつ増えていきます。
借りるときの金利は決まっているけど3年後、5年後、10年後以降の金利は借りるときにはわかりません。完済するまでの未来の金利の予測はできない。なので変動金利は総額いくら支払うのか?がスタート時には計算できません。
対して、「35年固定金利」「40年固定金利」など。ローン契約期間の最初から最後まで金利が変わらない「全期間固定金利」なら?「最初に借りる時点で完済まで総額いくら払うのか?」が確定します。
ただ、実際は変動でも固定でも繰り上げ返済で35年よりも短く返し終えよう!と努力する人がほとんど。なので全期間固定金利を選んだ人でも?借りるときには総額いくら支払うのか?の計算はとても難しいのです。
以上のような理由からそもそも「総額いくら払うのか?」が計算できない変動金利と全期間固定金利では「どちらがお得か?」はまったく比べようがないのが現実なのです。
『なぜ、7割以上が変動金利を選ぶのか?』
あなたはハウスメーカーや銀行が出してくる資金計画書は、なぜ変動金利一択なのか知っていますか?答えは単純で変動金利の方が金利が低い。毎月の返済額が安く見えるので家を買ってもらいやすいからです。
例えば3,000万円を35年返済、ボーナス払いなしで変動金利0.9%で計算すると月々は約83,000円。今の家賃に1~2万円の上乗せ。これを固定金利で計算して今の家賃より3~4万円高くなってしまったら?
お客さんもちょっと抵抗があって購入しづらくなりますよね。だから銀行も住宅会社も営業マンも返済額が少しでも安く見える変動金利を必ず勧めるのです。さらには35年返済を40年50年に延ばせば月々はさらに安く見えます。
住宅ローンを選ぶとき。銀行や住宅会社から今後の金利の見通しや変動金利の細かい仕組みの説明、また、もし金利上昇した場合の返済シミュレーションまで見せられて変動金利を勧められたら?あなたは耳を傾けて良いでしょう。
でも、特に細かい説明も何もなくて「景気はまだ良くならないし金利もすぐには上がりません!」「もし金利が上がりはじめたときは給料も大幅に上がっていますよ!」と口先だけで変動金利を勧められたら?かなり危険ですよ!
『景気が悪くても金利は上がる』
景気というのは景気が上がらないと金利が上がらないわけではありません。景気が悪いままでも金利が上がることもあります。
住宅・不動産営業マンは土地や家が売れればいい。あなたが購入後にローンが払っていけるかどうかはまったく興味なし。あなたが住宅ローンを返せなくなっても家を引き渡した時点で住宅会社はお金を受け取るので全くの無関係。
『変動金利は借り手がリスクを負う』
住宅会社だけではなくお金の貸し手である銀行も全期間固定金利の貸出は嫌がります。なぜなら、お金の貸し手である銀行側が金利の変動リスク、「金利が変わらないリスク」を全期間負わなければいけないからです。
対して、変動金利は借り手が金利の変動リスクを負います。この先金利が上がると見込んでいるなら?変動金利で貸した方が銀行にとっては都合が良いですよね。
つまり、住宅ローンの貸し借りであなたと銀行のどちらか得をするということはありません。「借りたあとにどのような返済計画を立てるのか?」「変動金利を選ぶならどのような金利上昇対策を実践していくのか?」など。
もし、どうしても損得で考えたいのなら?固定と変動金利上昇の比較や変動金利今後35年の金利予測のシミュレーション、35年の返済方法や返済計画をいかに綿密に立てられるか?実践できるか?
夫婦の働き方や性格、退職金額の把握、子どもの教育費の見立て、夫婦の老後資金など。収入減で支出大幅増、金利上昇の最悪の家計シミュレーションをいくつも行ってようやくある程度の道筋というものが見えてくるものです。
『金利が高い低いで比べるのは間違い』
また、「変動金利は低い、固定金利は高い」という考え方は正しくありません。35年固定金利などの全期間固定金利を選ぶ人の頭の中のイメージは..。
「今後、金利が上がっていく不安よりも将来まで返済額が変わらない保険(安心料)が欲しい。変動よりは増えるけど月々の返済額は一生変わらないし。金利のことを何も考えずに暮らせるもんなー」
と今後の金利変動リスクに保険をかけた方が家計がやりくりしやすいしと判断した人。4~5年前に固定金利を選んで返済中の人は昨今の急激な物価上昇で支出は増えていても住宅ローン返済に関してストレスはありません。
『身の丈の住宅ローンなら金利は恐くない』
昨今の急激な物価高から考えれば金利上昇の不安があっても月々の返済額は誰もが少しでも減らしたいところ。住宅価格も人件費も高騰してしまってちょっと背伸びしないと家が買えない時代になってきたのも事実。
でも、自身の収入と支出に見合った借入れ、生活スタイルや生活レベルも見直せない・下げられないままでは長期の住宅ローンは返済していくことが難しいです。
住宅ローンを無理すればその分他にお金が回せなくなります。食費、外食、お小遣い、旅行、趣味など。楽しいことを我慢しなければならなくなる。
ハウスメーカーに乗せられたり理想を追い求めて収入に対してMAXまでの借入れはしんどいです。変動金利は金利が上がるリスクがある金融商品で金利が上がるのは自然なこと。今までが異常に低金利だっただけ。
目先の金額の安さや営業マンのトークを鵜呑みにしてはいけません。私が言いたいことはただひとつ。
「無理のない住宅購入予算で住宅ローンを組んでさえいれば家計が苦しくなることはありません。家を建てても節約生活を強いられることはなくお金が貯まる家計になります。家を建てたあともお金の不安を抱えることなく豊かに幸せに暮らせます。身の丈に合った住宅ローンなら変動でも固定でもまったく怖くはないのですから」