静岡市のファイナンシャルプランナー、住宅ローン相談・住宅購入専門FPが住宅ローンはお得に借りるなについてお伝えしますね。
先日、情報番組のリフォーム企画に某芸人さんが出演していました。番組内のリフォーム企画で新築の自宅を一部リフォームです。
某芸人さんは40歳で建売住宅を自己資金なしで5,800万円を35年ローンで購入。毎月の返済額はわかりませんがおそらくフラット35で借りたと思われます。
番組内で、「住宅ローン35年ですよ!35年‼」と某芸人さんは強調していましたが私には笑いをとりにいってるというより、「75歳までのローンは大変だな・・・」という切実な声に聞こえましたね。
芸能人は不安定な職業なので銀行は変動金利で35年も貸してはくれません。もし、変動金利で借りるとしたら長くても20年。TVで活躍している芸人さんなので年収は最低でも数千万円はあると思います。
40歳という年齢を考えると最初から20年ローンでも返せそうですが芸人さんという不安定な仕事は何があるかわからないので将来を見据えて35年ローンで組んだのかな?と予測できますね。
『返済は短い方がお得?』
先日、7年前に相談があった当時40歳会社員のAさんから連絡が。当時の年収は700万円、奥さまはパート勤務で世帯年収は約800万円の家庭。
当時、子供さんは10歳と8歳。上場企業勤務のAさんの退職年齢は60歳。当時40歳で3,300万円の住宅ローンがスタート。40歳夫婦で世帯年収が800万円で3,300万円の借入は無理のない金額です。
Aさん「退職まであと20年。定年後もローンを払うのは大変だから住宅ローンは20年にします!金利は低いしなんとかなるでしょ⁉」ご夫婦で考えた結果20年ローンで毎月の返済は約14万円がスタート。
私は35年ローンを勧めましたがご夫婦で出した結論。そして7年後の今年。47歳のAさんは春から関連会社に出向になり年収は100万円下がりました。
さらに話を聞いていくと奥さまが数年前から体調を崩してパートを休職中。奥様の収入は0になりAさんの世帯年収は200万円ダウン。子供さんも中高生になり教育費やその他の出費が家計を圧迫していました。
『ハイペースの返済は危険』
Aさんご夫婦は3,300万円という適正なローンを組み退職時に合わせて住宅ローンを20年に設定。当初からハイペースな返済もしばらくは順調でした。
でも、数年後に奥さまの収入が0に。Aさんの年収も100万円ダウンして毎月約14万円のローン返済が家計を圧迫することに。今は貯金を崩して対応していますが今のままだと近い将来返済ができなくなりそうです。
『返済はお得より安全な方法で』
Aさんは退職後にローン返済を残したくなかったので返済期間を20年にした気持ちはよくわかります。最初の返済は超余裕でした。でも、まさか途中で家計がピンチになるなんて・・・。まったく予想していませんでした。
今の危機を乗り越えるためには20年返済を35年返済に延長してもらうしかありません。不可能ではないですが現実には難しいです。変更の手続きはとても大変で再度のローン審査が必要。諸費用も別途かかりますからね。
おそらくですが某芸人さんも「20年返済で返せなくないけど収入は不安定だし今後何があるかわからないからお得に短くより安全に長めに」という選択をしたのかもしれません。
利息だけを考えるとローン返済は短い方がお得ですが出向や転職、リストラ、病気などで収入減になったときに子どもの教育費なども重なると家計が一気にピンチに陥ってしまいます。
「利息をなるべく払いたくない・・・」という気持ちはよくわかります。ただ、今のコロナ禍では来年の経済がどうなるかも読めませんよね。
住宅ローン返済は、「お得に借りるのではなく安全に借りておく」ことで不測の事態や予期せぬ家計のピンチも未然に防ぐことができるのです。
(マイホーム購入のご相談はご夫婦の考えや表情、空気感を読み取ることが非常に重要なため現状は対面での相談をしています。面談時にはマスク着用、アルコール消毒液を持参で訪問しています)