静岡市のファイナンシャルプランナー、住宅ローン相談・住宅購入専門FPが月々の住宅ローンの適正額についてお伝えしますね。
「他の人って毎月の支出はいくらぐらいですか?」初回面談時の家計のヒアリング中によく聞かれる質問。食費、家賃、教育費、その他支出など。他の家庭が「毎月いくら使っているのか?」が気になる人は多いと思います。
ただ、収入が違えば支出も当然違うわけで。収入が同じでも堅実な家庭もあれば浪費グセが多い家庭もある。他人の家計の様子が自分にも参考になるとは限りません。
でも、人と比べて「自分の家計の支出は適正なのか?」ある程度の目安を知りたいのはごく自然なことですよね。家計の支出が適正なのか?を簡単に知る方法があるのをあなたは知っていますか?
『家計の黄金比率とは』
「家計の支出が適正なのか?」の目安を知りたいとき。参考になるのが「家計の黄金比率」と言われるもの。執筆系で人気の某ファイナンシャルプランナーの著書で示されています。
具体的に「何にいくら使うのが家計に適正か?」を手取りの月収に対して項目別に詳細な比率で示してくれているもの。
年収やボーナス額は考慮せずあくまでも手取りの月収での比率。「家計の黄金比率」によると手取りの月収に対して例えば食費は15%、住居費は25%、貯蓄は20%など。
夫婦共働きで妻はパート勤務、小学生未満の子供2人いる4人家族の想定での算出。例えば世帯の手取り月収が25万円なら食費は37,500円、住居費は約63,000円、貯蓄は50,000円。
あなたの家計の支出が「家計の黄金比率」に近ければ今後も貯金ができていくということなのですが・・・。
『現実は厳しい』
「夫婦ともに会社員だったときは家計が余裕だったのに妻が出産で退職したら貯金がまったくできなくなった・・・」というのはよく聞く話。子どもが生まれたばかりなのに貯金がまったくできないのはちょっと問題です。
子どもが生まれたら諸々お金がかかるので予想以上に支出は増えていきます。年に数回など一時的な家計の赤字なら仕方がないけど毎月毎月赤字でボーナスで何とか補てんして年間収支はギリギリ黒字。
周りの子供のいる家庭はもう少し余裕がありそうに見えるし他の家庭は毎月の給料だけでやりくりできているのだろうか?私達の支出は一般的な家庭より多いのだろうか?色々な考えが頭をよぎると思います。
上述の手取りの月収25万円で住居費25%の63,000円は賃貸ではいけるけど月々の住宅ローン返済と考えたら現実的には厳しい。63,000円は今の変動金利で35年返済だと住宅ローン借入額は約2,400万円。
中古住宅や建売住宅なら選択肢に入るけど土地からの注文住宅はムリです。注文住宅を希望するなら手持ちのかなりの預貯金または親族からの資金援助を投入しない限り住宅ローン3,000万円は必要。
3,000万円を今の変動金利で35年返済にすると月々は約79,000円。手取りの月収25万円世帯の住居費の黄金比率から差し引きすると16,000円アップします。
差額16,000円を埋めるためには家計の何かを減らすまたは削るなど全体のバランスで調整することが必要になりますよね。
『家庭ごと比率は異なる』
「家計の黄金比率」を目安にするのは大切なこと。でも、各家庭で支出の比率はまったく異なります。食費が多い、少ない。外食が多い、少ない。習い事や教育費にお金をかけるかけないなど・・・。
「黄金比率」はあくまで目安でとらわれてはいけません。もし、住居費が数万円オーバーするなら他の何かを減らしたり抑える。もし、他の支出を減らすことができないのなら貯金の比率を減らすなど。
自分が無理せず生活する、貯金が続けられる家計のベストの配分を自身で探ることが大事なのです。しかも家を買う前に住宅ローンを契約する前に家計のベストな配分を知っておくことがものすごく大事。
「住宅ローンがスタートしてから家計の見直しをしよう・・・」では家計の見直しは難しい。自分の性格を変えるのが難しいのと同様に今までの支出グセをすぐ改善するのは簡単なことではありません。
あなたは人生を幸せに豊かに過ごすために何を優先したいのか?何にお金をかけたいのか?代わりにどんな支出を抑えたいのか?家計のメリハリをつけておくことがものすごく重要なんです。
家を建てることは人生の手段に過ぎない。毎月の住宅ローン返済に追われてしまってあなたや家族が好きなことを我慢しなければならなくなる不幸な人生だけは絶対に避けて欲しいからです。
『年収ベースでの借入額は無意味』
「年収の8倍まで借りられますよ!」などは住宅営業マンがよく使うフレーズ。9倍10倍までOKと営業マンもいます。いわゆる銀行で借りられる額のこと。でも、年収ベースの借入額はまったく意味がありません。
なぜなら、年収に対していくら借りられるか?という銀行の返済比率はあなたの支出のことはまったく考慮していないからです。
大事なのは家を買うことではなく家を買っても住宅ローンを払いながら様々な支出をしながら子供を育てながら住宅ローンが最後まで本当に返していけるかではありませんか?
『収入は減って支出は増えていく』
住宅ローン3,000万円の今の変動金利の35年返済は79,000円。家計の黄金比率によると住居費は25%でしたね。79,000円は手取り月収25万円世帯でいうと約32%の住居費。
32%ということは月の手取り額の三分の一近くが住宅ローン返済。手取り月収25万円での住居費32%はまだマシな方です。手取り月収25万円に対して住居費40%の毎月10万円を払っている子どもがまだ小さい家庭はいっぱいいますから。
実際に静岡銀行の場合、年収400万円以上あれば年収の40%まで毎月の住宅ローンを借りられますからね。
年収400万円で年間160万円が住宅ローンの支払い。所得税や住民税など社会保険料が引かれた実際の手取り年収は約320万円ほど。ということは手取り収入の50%が住宅ローン返済なんて・・・。私には恐ろしすぎる!
食費や日用品は子どもの成長とともに増え続けます。特に男の子2人の場合は中学高校の成長期はめちゃくちゃ食べます。食費は月々の住宅ローン返済と変わらないくらいになるでしょう。
一方で子供が生まれると奥さんの働き方は大きく変わります。産休・育休・時短勤務など。当初はフルタイムで働くつもりでいたものの子育てのために子供が小さいうちはどうしても働く時間を減らすことになりますよね。
出産から時短勤務期間中は世帯年収が下がって収支が赤字になりやすい時期。 家を買うときには安易な資金計画は禁物。最初から収入は少なめに支出は多めに見込んでおくことです。
公務員を除いてボーナスや退職金は当てにしない慎重な返済計画を。住宅購入で失敗後悔しない秘訣は年収などの収入より今後の詳細な支出のシミュレーション。
家を買う前にまずは適正な住宅購入予算をしっかりと把握することに尽きるのです。