静岡市の住宅ローン相談・住宅購入専門FPが住宅ローンの繰上返済はしなくていいについてお伝えしますね。

「〇〇のタイミングで繰上返済をしようと思っているのですが…」ときどき聞かれる質問。繰上返済とは100万円などまとまったお金を支払うことで住宅ローンの残高を減らして利息軽減すること。

「少しでも住宅ローンの負担を減らしたいから…」「35年でスタートしたけど20年、25年で完済したい…」と繰上返済を検討される人は多いと思います。

でも、冒頭の質問に対する私の回答はいつも同じ。

『どちらでもいい』

「繰上返済をしてもしなくてもいいですよ。」結論だけだとちょっと冷たい感じに聞こえますが。

もう少し正確にお伝えするならば。「将来までのライフイベントの洗い出しや家計のシミュレーションをしっかり行った上で家計に余裕があるのなら繰上返済すれば良い」が私の意図する回答

あなたの人生において住宅ローン返済より家族と過ごす時間、旅行、レジャー、趣味、買い物など。あなたが人生で実現したいこと、やりたいこと、優先したいことがたくさんあるはず。

住宅ローン返済のために生きているわけではありませんよね。でも、人生の楽しみを実現するためには時間以外にお金が必要です。

なので今後のあなたと家族のライフイベントを立ててまず、必要なお金がいくらかなのか?を把握する。ライフイベントの必要な時期にお金がしっかり準備できて家計にまだ余裕があるのなら?繰上返済すれば良いのです。

逆に言うと家計に余裕がなければ繰上返済は無理しなくていいです。

『繰上返済は簡単ではない』

私の同級生は今子どもが高校生2人や中学生と高校生の2人など。4人家族が多くて子どもが幼少時、15年以上前から住宅ローンを組んでいる人が多く今より金利が高かったです。

途中、金利が下がってきたので住宅ローンの借換えを実行。借換えとはA銀行からB銀行などに最初に借りた金利より低い金利に切り変えること。

借換え後は「頑張って貯金をして定期的に繰上返済するぞー!」と考えている人が多かったのですが…。

世の中甘くはありません。住宅ローン以外の生活費、娯楽費、習い事を含む教育費、車の購入や維持費など。子供の成長とともに家計の支出は増えるばかり。大学費用も早くから準備しなければいけませんよね。

つまり、貯金の使い道の優先順位に繰上返済はありません。優先して繰上返済に貯金を使うことができないのです

『FPも意見が分かれる』

住宅ローンの繰上返済については肯定派、否定派と様々な意見があります。FPでも意見が真っ二つに分かれるところ。

「超低金利だから住宅ローン減税のメリットを受けながら返済すべき」「住宅ローンは借金だからさっさと貯めてさっさと返すべき」「繰上返済する資金があるなら返済よりも投資に回して資産を増やすべき」など。

まあ、肯定派と否定派という対立構造を何かと作りたがるのが世の中だったりメディアなのですが…。

『各家庭ごと状況が異なる』

「どちらが正しいのか?」の正解はありません。ではなく各家庭ごとの経済状況や価値観で大きく変わるのです。どちらも正解であり不正解。

子育て世代の場合は子どもが0~3歳の頃からスタートした住宅ローンが10年15年と経っていけば。子どもにお金がかかってきているので家計にあまり余裕がなくて繰上返済は簡単にはできないですよね。

もし、住宅ローンの利息軽減や早期完済のために繰上返済をしたいのなら?住宅ローン控除期間が終わってからではなく1年目、3年目、5年目と住宅ローン残高が多いときに繰上返済を繰り返した方がお得です。

また、「低金利下で繰上返済をするくらいなら投資に回した方がお得だ」というFPもいます。投資に回した方がお得というFPは持ち家派より賃貸派の傾向が強かったり投資家目線が多い。

「投資で住宅ローンの金利を上回れるから繰上返済するより投資で運用したほうが手元にお金が残る..」とあなたが損得で考えたいなら繰上返済しない方が運用次第で結果的にお得になるでしょう。

『繰上返済しなくていい理由』

  1. 住宅ローン控除額が減額になる可能性がある
  2. 低金利で利息の軽減効果が少ないため
  3. 団体信用生命保険の保険金額が減ってしまう

など繰上返済しなくていい理由は一般的に損得の話になりがち。

でも、私は住宅ローンを損得で考えるべきではないと思いますね。私が繰上返済をしなくていいと思っている最大の理由は、「家族のライフイベントの出費を準備できなくなる心配があるから」です。

近い将来、大学費用、車の買替え、家の修繕費、リフォーム費用など。最低でも数百万円の出費が待ち構えている場合は住宅ローンの繰上返済はすべきではありません。

手持ちのお金から繰上返済することによってライフイベントの出費が準備できないことの方が家計に大きなダメージを及ぼします。

加えてライフイベントの出費は住宅の購入後15~20年後に特に重なってきます。第一子誕生をきっかけに家を買ってほぼ同時期に車も買うとライフイベントの費用がいくつか重なることになるのです。

『住宅ローンはお得ではなく安全に』

今後、同時期に続々と待ち構えるライフイベントがあるのに損得だけで繰上返済する必要はありません。家計を無理しなければ手持ちのお金で様々な出費に対応できますから。

でも、繰上返済を先にしてしまって現金を減らして必用な時期に必要なお金が用意できなかったら?住宅ローンよりも金利の高いローンを次々に借りることになってしまう。

奨学金で大学に行かせることも可能ですが。家計に余裕がなくなり住宅ローン返済が苦しくなれば子どもに進学や進路を諦めてもらうしかありません。

つまり、住宅ローンは損得で考えてはいけないのです。住宅ローンは損得ではなく安全に考える。返済ペースを無理に変える必要はありません。繰上返済すべきかどうかは家計の状況で堅実に判断する必要があるのです。

『適正な購入予算がすべて』

「繰上返済はしなくていい」の根拠にもう一つだけ最重要の理由があります。『適正な購入予算で住宅ローンを借りる』ことが大前提です。

もし、あなたが身の丈以上の借り入れでスタートした住宅ローンだったら?話はまったく変わります。家族のライフイベントは諦めて早くから繰上返済を優先しないと。現役収入がある内にローン返済しておかないと。

いつか払えなくなって家を売却するなどの家計破たん、老後破たんしてしまうことになりかねません。