静岡市の住宅ローン相談・住宅購入専門FPが持病があると住宅ローンが借りれないについてお伝えしますね。
「実は先週、夫が脳出血で倒れて入院中です。今はコロナのため面会もできず状態もまだ安定していなくて。今後、どの程度後遺症が残るかわからないのですが…」
去年の8月ごろの出来事。2か月前に面談した相談者さんからのショッキングなメール。同時期に中学の同級生や40代の友達も脳出血で入院中とSNSで報告していて脳出血は珍しくない症状なのだと実感。
「今現在、病気で治療中、過去に大病をしている、昔から持病がある」など。あなたは持病がある人や過去に病気をした人は住宅ローンの審査に影響すると思いますか?
『住宅ローンと病気の関係』
結論からいうと治療中の病気、過去の大きな病気、持病などは住宅ローン審査に大きく影響します。なぜなら、住宅ローンを組むときは団体信用生命保険(以下、団信)への加入が義務付けられているためです。
団信とは住宅ローンの契約者がローン返済中に死亡または高度障害になった場合に。保険会社から金融機関に保険金が支払われて住宅ローンの残高がゼロになります。
多くの金融機関では団信に加入できなければ住宅ローンを借りることができません。団信への加入が難しい病気はたくさんあるのですが。
代表的なのは脳梗塞、脳出血などの脳疾患、心筋梗塞などの心臓疾患、がん、白血病などの腫瘍、うつ病などの精神疾患など。民間の生命保険加入と同様に生死に関わるような病歴は団信への加入が厳しいです。
一般的に民間の生命保険は過去5年以内の病歴を聞かれるのに対して。団信の場合は過去3年以内となっているケースが多いです。
『絶対やってはいけないこと』
当たり前のことですが今現在、病気の治療中であったり過去の病気を隠す行為。いわゆる、告知義務違反は絶対にやってはいけません。
「病歴をすっかり忘れていた」「告知する必要がないと思った」など。団信の重要性がわからずにやってしまうこともあるでしょう。でも、告知義務違反をする多くの場合は自分の意思ではないケースがほとんど。
何かというとハウスメーカーや不動産の営業マンに「書かなくて大丈夫ですよ!」と言われて書かない悪質なケースです。
営業マンは家を売るのはプロでも保険のプロではありません。営業マンの仕事は家を売ること、不動産を売ること。家を売る立場からするとお客さんが住宅ローンを借りれないのはとても困るわけです。
「過去の病歴をしっかりと告知して」「審査の結果、団信が通らなかった…」「ローンが借りられない…」「家が売れなくなってしまう…」のは営業マンからすると絶対に避けなければならない。
ちなみにある金融機関の調査によると20人に1人の5%の人が告知義務違反に該当するというデータが出ています。
『バレたら住宅ローン一括返済』
では、もし病歴を隠したままで住宅ローン審査を通過。あなたはローン返済が始まって5年~10年以内にローン契約者が死亡、または何らかのきっかけで病気を隠していたことがバレたらどうなると思いますか?
まず、団信の生命保険会社が契約者のことを徹底的に調べ上げます。「地域の病院に手術や入院歴がないか?地域のクリニックに通院歴がないか?」など。もし、病気を隠していたことがバレると…。
- 告知義務違反として死亡しても団信(残りの住宅ローン金額)が支払われない
- 契約違反として残りの住宅ローンの一括返済を求められる
つまり、告知義務違反があると奥さんが全額返済していかなければならないのです。パート勤務など収入の少ない奥さんが多額のローンを支払うのは大変です。結果的に家を手放すことになるかもしれません。
『告知は正直に』
告知義務違反は非常に重いペナルティが課せられます。今現在、病気で治療中の人や過去に病歴のある人は少なからず住宅ローンの審査に影響してきます。
一昨年、メンタルの症状で休職をして9か月療養していたお客さんをサポートしたとき。メンタルの病気は完治が難しいので住宅ローン審査にかなり苦労しました。
治療終了から1年経つまで待って住宅ローン審査を実施。詳細な病歴を申告をしてローン審査が否決になる金融機関もあれば。
普通に問題なく団信に加入できた金融機関もありました。(正確には引き受け生命保険会社の判断。また団信だけの問題で審査が通るわけではありません)
病歴がある人は営業マンからの安易なアドバイスを鵜呑みにせず。住宅ローン審査時に告知が必要な病気は正直にありのままを申告するようにしてくださいね。