静岡の住宅ローン相談・住宅購入専門FPが住宅ローン借入額が急激に上昇!についてお伝えしますね。

「飲食料品のうち8月に値上げした品目は1102品目。前年8月は2516品目だったのに対して今月は約1400品目減の4割の水準にとどまる…」某ネット記事から抜粋。今月も値上げの話題が止まりません。

記事によると値上げラッシュから一段落のようですが値上げは今後もまだ続くでしょう。ガソリンは高いし光熱費も高い。物価上昇に対して賃金アップは追いついていない。景気が良いのも一部の業種や企業だけ。

今のままでは今後は本当にヤバいインフレになってしまうのではないでしょうか。

『住宅ローン借入額が急激に上昇』

値上げの嵐は住宅業界も同様で住宅価格は年々上昇中。例えば4人家族の3LDKの延床面積32~35坪の一般的な注文住宅で地盤改良、電気ガス水道の設備工事、外構工事まで含んだ建築費は10年前は約2,100万円。

3~4年前で約2,500万円、去年は約2,700万円くらいに上がっていて今年は3,000万円近くになりそうな勢い。

消費税の変化や住宅性能の向上、昨今の社会情勢の影響もあり単純な比較にはならないですが…。近年の住宅価格の上昇率は食料品や生活用品をはるかに超える急激な値上げ幅になっているのです。

同条件の建物で10年前は2,100万円。今年は約3,000万円。加えて土地の価格も上昇傾向。静岡市内で注文住宅を建てようと思ったらエリアによっては5,000万円を軽く超えるような感じ。

もし、ハイコストの大手ハウスメーカーで建てようと思えば6,000万円を超える勢いです。実際に県内の某金融機関によると住宅ローンの申込金額が10年前と比べるとほぼ倍増。

貯金が100万円未満の家庭で5,000~6,000万円の借入れも珍しくありません。(住宅価格の上昇以外にハウスメーカー提携FPなどハウスメーカーに忖度する人が作る無理がある資金計画も要因)

本当はたくさん借りて欲しい金融機関の担当者が、「今のままではかなり無理があるので資金計画を見直したり借入額を少し下げましょう」とわざわざアドバイスをする事態にまでなっています。

ひと昔前と違って今は頭金を入れなくてもローンが組める時代。結果的に身の丈以上の家計に無理がある借入れは遅かれ早かれ家計を圧迫してしまうのは間違いありません。

『住宅価格の上昇よりも問題は・・・』

建築費の値上がりは住宅資材・建材費の高騰が一番の要因です。ウッドショック、オイルショック、アイアンショックなど。海外からの材料調達に頼る日本の家づくりは最近の円安の影響もありかなり厳しい状況。

いったん落ち着いたように見える建築費ですが。今の円安は今後もしばらく収まりそうにないので建築費の高騰はまだ続くのではないか?と個人的には危惧しています。

ただ、様々な値上げよりも大きな問題なのは一部の人を除いて給与がほとんど上がっていないこと。例えば食料品や生活用品の値上がりは節約したり家計のやりくりで毎月の支出はなんとか抑えられますが…。

『住宅購入の失敗は致命的』

マイホームにかける予算を大きく間違えてしまったら?家計は火の車でやっていけません。ほとんどの人は銀行で「借りられる額」で住宅ローンを組みます。つまり、年収に対していくら借りられるか?の思考。

でも、実際に返していくのは簡単なことではありません。銀行の審査がOKだったからといって「借りられる額」で住宅ローンを組むのはかなり危険な行為。

なぜなら、「借りられる額」は年収のみに対しての審査。税金や社会保険料が引かれた実際の生活の手取り額ではないからです。支出も1ミリも考慮されていません。

厚生年金や健康保険など年々上がる社会保険料、所得税や住民税が引かれた給与明細を見ると「実際の手取りって少ないなー」とあなたは思うことはありませんか??

実際、月給30万円の会社員が本来の給料から天引きされる税金と社会保険料の割合は?2000年は約36%だったのが2023年は約47%。

日本の働く人の9割はサラリーマン。国は取れるところからお金を取ります。サラリーマンの税と社会保険料の負担増は今後も続いていくでしょう。

話を戻すと住宅ローンは年収ではなく手取りの金額で考えないと家計を大きく圧迫してしまうのです。銀行で住宅ローンを借りるのは簡単。でも、長期にわたって返していくのは簡単なことではありません。

『適正な住宅購入予算を間違えないこと』

以上のようなことからマイホーム購入においてはまずはあなたの家庭の実際に使える収入と今後の様々な支出をしっかりと把握することがものすごく重要なのです

つまり、まず最初はあなたの家計で無理なく返せる住宅ローン額を把握すること。いきなり住宅展示場に行くのは予算ばかりが大きく膨れ上がってしまいます。

家を建てたあとは住宅ローンを返す以外に維持費などもたくさんかかります。人生は家を建てることだけがすべてではありません。

教育費はもちろん、老後は長生きすればするほどお金が必要です。無理してお金を借りられるだけ借りてしまえばいつかは返せなくなり不幸な結末が待っているだけですよ。