静岡のファイナンシャルプランナー、住宅ローン相談・住宅購入専門FPが住宅ローンと車のダブルローンについてお伝えしますね。
「クルマもそろそろ寿命なので買い替えたいですね・・・」先月のご相談で今年家を建てる予定だけど「車をローンで買っても大丈夫か?」という質問がありました。
基本的に住宅ローンを組む人が家を建てる前に車のローンなどを組むのはしてはいけないこと。なぜなら、「条件の良いローンに通らない」「希望額が借りれられない」という可能性があるため。
でも、車は生活必需品で欠かせないしかといって現金も少ない。住宅ローンが待っているのに現金で買えない状況で車を買っても良いのか?について私の意見をお伝えしていきますね。
『借入れの仕組みとは』
「あなたがローンをいくら借りられるか?」はあなたの年収に関係してきます。金融業界では、「返済比率」と呼んでいてあなたの年収に占める年間返済額の割合のことを指します。
年収に対して返済比率(借金の割合)が高くなれば銀行はローンを貸してくれない。「いくら何でも返すのはきついでしょ・・・」と銀行が判断するからです。
返済比率は金融機関で変わってきますが例えば35年固定金利のフラット35の場合は、すべての借入れに関して年収400万円未満であれば年間合計返済額は年収の30%以下。年収400万円以上であれば年収の35%以下。
ということは年収400万円未満か400万円以上でローンを借りられる額がかなり変わってくるんですね。
『よく提案される方法』
「車のローンやその他のローンを組んでいるので家を買おうと思っても希望額がなかなか借りられない・・・」というケースがよくある。
ハウスメーカーや工務店は住宅ローン希望額を借りてもらわないと家を建ててもらえないですよね。なのである手法を使います。金融機関によっては、「おまとめローン」という商品があります。
「おまとめローン」とは車のローンなどがあって住宅ローンを借りにくい人向けの商品で住宅ローンに車のローン分まで一本にまとめてしまうというもの。
例えば、残高200万円の車のローンを住宅ローンの35年返済にまとめてしまえば毎月3万円だった支払いが数千円程度にまで下がる。
つまり、年間返済額も低くなるので希望額で住宅ローンも借りられるような魔法の商品です。でもね・・・。
『デメリットしかない』
よく考えてみてください。あなたが今ローンを組んでいる車は残り35年も乗り続けますか?絶対乗らないですよね。せいぜい10~15年でしょう。
つまり、その車を手放した後も住宅ローンを払い続けている間乗っていない車の利息も払い続けるのはデメリットしかありません。今すぐ家を手に入れたい応急処置的な方法に過ぎない。
つまり、「おまとめローン」を選択する時点で家計に相当無理があるということ。車のローンがある状態で銀行が希望額を貸さないのはもっともな話なんですね。
「車のローンがあるのに住宅ローンまで借りるのはあなた危険すぎますよ~」と銀行がやさしく教えてくれるわけです。
『未だに行われている違法行為』
以上のようなことから車のローンがある状態で今すぐ家が欲しいからといって上述のような希望額を何とか借りられる方法を取るのではなく一度、冷静に立ち止まることの方が大事。
その場しのぎの家計では近い将来やっていけなくなる可能性が極めて高いですから。でも、「どうしても家が欲しい!」ということなら止めはしませんが・・・。
もし、あなたが家を買う前に車のローンを組むのなら月に1万円以下などの住宅ローン借入にも影響が少なくなる金額にすること。上述のような「おまとめローン」商品がある金融機関で住宅ローンを検討すること。
一番やってはいけないのは住宅業界で未だに水面下で行われている住宅価格を水増しして車のローンをまとめる違法行為。
悪質な場合は私文書偽造などの罪に問われる可能性が高くまったくオススメできません。ハウスメーカーや工務店から甘い誘惑があってもかなり慎重な判断が必要ですよ。
(マイホーム購入のご相談はご夫婦のお考えや表情、空気感を読み取ることが非常に重要なため現状は対面での相談をしています。面談時にはマスク着用、アルコール消毒液を持参で訪問しています)