静岡市のファイナンシャルプランナー、住宅ローン相談・住宅購入専門FPが土地と建物同じ会社に気をつけろについてお伝えしますね。
私が長期で住宅購入のサポートをしているときに一番苦労すること。ズバリ「土地探し」。予算内に収める資金計画、返済計画や住宅ローン選び、建築先選びなども色々と苦労するのですが…。
注文住宅の場合は土地が見つからなければ先に進めません。「希望の土地が見つからない・・・」「情報が出ても即売れてしまう・・・」「土地は気に入ったけど高い・・・」など。土地探しの悩みは尽きません。
「土地さえあれば家建てるんだけどね・・・」と家づくりを進めたいけど土地が見つからないから進められない人も多いはず。
家を建てたい人は多いし土地の数はある。でも、予算に収まる良い土地を見つけるのはかなり難しいこと。需要と供給のバランスがあまり良くありません。
逆に言い換えると「良い土地さえあれば家が売れる状況」とも言えます。実は良い土地を仕入れて家を売ろうとする住宅業者が数多くあります。
住宅業者が土地を絡めて家を売る方法は色々あるのですが。一番シンプルな方法は「建築条件付きの土地」を仕入れることなんです。
『土地と建物セットで』
主にハウスメーカーや不動産業者に多いのですが、「建築条件付き」とは土地を買うなら土地の所有者会社または指定業者で建物も建ててというもの。「土地を買いたいなら建物も一緒に建ててね!それなら売りますよ!」という手法。
一般的な注文住宅の流れでは土地を探しながら、「どこの会社で建てようかな~」と建築先を自由に選べることが多い。でも、建築条件付きの土地は建てる会社も決まりがあるので他社で建ててもOKということではありません。
もし、あなたが「他社で家を建てたい!」という希望が特になければ土地さえ気に入れば問題ないでしょう。でも、家を建てるなら「○○ホームで家を建てたい!」と思っているならとっても悩ましい問題ですよね。
「土地が全然ないなー。困ったな・・・」と思っていたら「予算も合う気に入った土地が見つかった!!でも、建築条件付き…。でも、仕方ないか、土地ないもんなぁ…」
『家に魅力がなくても売れてしまう』
「家のこだわりはあまりなく良い土地さえあれば売れる」という需要があるのも事実です。となると住宅業者は多少のリスクを背負いながらも大きな土地を購入して何区画かに分割して販売します。
仮に土地を仕入れるときに一時的に大きく赤字が出たとしてもすべての区画が売れて家もセットで売ることができればかなりの収益。なので土地と家をセットで売りたい業者は毎日毎日売れる土地を探しているのです。
土地を仕入れるプロが毎日売れる土地を一生懸命探している。初めて土地を買うあなたが良い情報を早く手に入れるのは非常に難しいのです。
さらに言えば住宅業者にとって建築条件付きの土地を仕入れる最大のメリットは「家に魅力がなくても売れてしまう」こと。
「○○エリアに家を建てたい!」という人を集客できれば家に魅力がなくても売れてしまう。建物が他社との競合にならないので商談がスムーズに進むというメリットがあるのです。
色々な会社の提案を受けて比較検討したいと考える人が多いのに建築条件付きの場合は土地と建物をセットで販売だから比較検討されることもない。
デザインや性能、間取りの使いやすさは二の次で建物価格があまり高くなければ売れてしまう状態。建築条件付きを行っている業者にとって良い土地を仕入れられるか?が経営を大きく左右するといっても過言ではありません。
『建築条件付きは買っちゃいけない?』
私自身、建築条件付きを扱う業者については肯定も否定もしません。買うのをオススメするわけでもなければ買わない方がいいとも言えません。
なぜなら、各家庭によって家が欲しい理由や考えが異なるから。各家庭によって何がベストな提案か?がまったく変わってくるからです。
例えば、「家賃を払い続けるのがもったいない。でも、子供の学区は変えさせたくない。家の間取りやデザインにはこだわりがなくて建売住宅で全然問題ないです!」
というニーズがあるならいつ出てくるかわからない土地を探すよりも希望のエリア内にある建築条件付きの土地を買った方が幸せかもしれませんよね。
一方で、「家が欲しくて仕方がない。せっかくなら私達のこだわりを詰め込んだ家を建てたい。建てるならA社かB社で建てるのが私達の夢なんです!」
という家庭なら土地探しに数年かかってもまたエリアを変えてでもあなたの夢を叶えましょうと伝えるかもしれません。
建築条件付きの土地だから一概にダメということではなくて各家庭のニーズと合うかどうか?という視点で考えるべきだと思いますね。
『家の性能には注意が必要』
ただ、デメリットとして一つだけあげるとするなら家の性能には注意が必要ですね。間取りやデザインにはこだわらなくても、「家の中が寒くてもいい」「光熱費はいくらでもOK」という人はいないはず。
建築条件付きの土地を販売する業者の中には、「売れれば何でもOK!売ることが目的!」と考えている会社も多くあります。なので販売価格を下げるために住宅性能を低くしている会社もあるからです。
「どのくらいの光熱費がかかるのか?」などのシミュレーションを事前にしてもらってから購入しないと買ったあとに大きく後悔してしまう可能性が高くなります。
シミュレーションは無料でやってくれる会社ばかりではないです。もし、外注で有料になってしまったとしてもやってもらう価値は十分あると思いますね。
また、建築条件付きは自由に間取りや仕様を決められますがある程度間取りや仕様の限度が決まっている場合もあるので合わせて注意が必要です。
さらにはハウスメーカーの建築条件付きは土地と建物の契約を急がされる場合が多い。値引きなどのお得感を感じる営業トークでとりあえず契約。
契約後に希望を盛り込むと建物の見積もりが大きく上がってしまうケースがよくあるので同様に注意が必要ですね。
基本的に土地探しは地味で大変な作業。本当に一苦労です。全く土地がないわけではなくて「形が良い」「程よい大きさ」「良心的な価格の土地」と条件が増えれば増えるほど一気に競争が激しくなります。
注文住宅を建てる上で実は土地探しが一番高いハードル。くじけそうになる人、心が折れそうになる人もたくさんいると思います。
でも、逆に土地さえ決まってしまえば後はエスカレーターのように自動的に家づくりは進んでいく。土地探しの苦労があった分その後の家づくりはとても楽しいものになるかもしれません。
土地探しは住宅営業マンや不動産会社がしてくれるイメージがあるかもですが。業者任せにするのではなく自分で地道にコツコツ現地を何度も訪れることで良い土地に巡り合う確率が格段に高まるのは間違いありません。