静岡市のファイナンシャルプランナー、住宅ローン相談・住宅購入専門FPが子ども部屋は北向きが最適の理由ついてお伝えしますね。
家づくりの中で一番楽しい作業のひとつ。間取りを考えること。「マイホームに今後何十年と暮らすのだから間取りにはこだわりたい!」という人も多いはず。
最近は風水や気学などを取り入れながらこだわりの間取りにしたい人もチラホラ。「子ども部屋が北向きにあるのはちょっと…。子どもが可哀想で・・・」建築先から提案された間取りを見てお客さんが言った一言。
間取りを計画するときに子ども部屋の配置で悩むことはあると思います。勉強に集中できて過ごしやすい環境にするためにも子ども部屋の配置はよく考えたいところですよね。
でも、個人的には子ども部屋の配置は北向きが最適なのでは?と思っています。間取りを担当した人は「子どもの生活リズムをよく理解している人だなー」と私は思いますね。
『子どもの1日の生活環境』
間取りにおいて「子ども部屋の配置をどこにするか?」の視点よりも「子どもの1日の生活環境を考える」ことの方がとても重要なんです。
文部科学省の指針によると、「学校生活では良好な日照及び空気を得ることができることが重要である」と定められています。つまり、教室の窓は光が最も入りやすい南向きに面するように建てられていることが多い。
さらには東側・南側から光が入る窓は原則として教室の前方(教壇側)に向かって左側になるように教室の前後(教壇や黒板に配置)が決定されています。お昼休みはグラウンドで元気に遊ぶ児童も多いですよね。
ということは子どもは学校で生活している間は日差しに当たっている時間が長く体温が平熱より高い状態にあるのです。
『子どもの体温を下げる』
子ども部屋は大人の寝室とは考え方が大きく異なります。子どもは「寝る」以外に「勉強する」「遊ぶ」など部屋にいる時間が長くなりがち。子供が快適に過ごすためには居心地の良い空間であることは大切です。
居心地の良い空間づくりのためには子ども部屋を日当たりの良い南の方角にしたいと希望する人は多いです。立地が良ければ長い時間帯で光が部屋に届くので明るく気持ちの良い部屋になりますからね。でも…。
家でも日当たりが良すぎる場所に子ども部屋を配置するのは学校生活と同様で体温が高い状態が続いてしまう。カラダにはよくありません。結果的に集中できず勉強などの大きな妨げになってしまうのです。
『良い環境を与えない方が育つ』
個人的な考えですが、「子どもが育つためには良い環境を与えないことではないか?」と思っています。例えば、社会問題にもなっている「ひきこもり」には様々な要因がありますが…。
一つには子ども部屋の環境に問題があると言われています。日当たり、エアコン、ゲーム、スマホ、テレビ、ネット環境など。与えられた環境が良ければ良いほど自分の部屋から出る必要はなくなるし出たくないですよね。
私は子どもにとっての良い環境とは子ども部屋を与えることではなくて。「親との関わりが持てる空間があるかどうか?」「親子のコミュニケーションが自然にできる環境があるか?」
という方に焦点を当てるべきではないでしょうか。子どもが自然にリビングに集まるような空間づくりだったり。子ども部屋でなくても勉強できる空間づくりだったり。
最初から整った良い環境を与えてしまうよりも。「自分で工夫して、努力して、環境に適応しながら・・・」考える力を身につけさせることの方が子どもにはプラスになるし子どもの成長につながるのでは?と思いますね。
『夫婦を想定した家づくりを』
子育て世代のパパさんママさんにとって「子育てしやすい家づくり」などのキャッチフレーズは目を引くでしょう。でも、家というのは最終的に老後に夫婦2人になると想定して建てることが一番良いと私は思います。
子どもはいつの日か巣立ちます。休みを除けば子どもが家にいる時間は午後3時4時以降でしょう。親として子ども部屋を日当たりの良い位置にしたい気持ちは十分よくわかりますが。
大切なのは夫婦の寝室や暮らしやすさの方をもっと重視して欲しいです。なぜなら、夫婦の方が子どもよりも圧倒的に暮らす時間が長いから。
仮に子どもが8歳から自分の部屋で暮らすようになったとしても一般的には約20年くらいで独立しますよね。間取りで優先すべきは子どもではなく最期まで住む可能性が高い夫婦の未来だと思うんですよね。
『間取りはパズルじゃない』
暮らしやすさを考える上で家事動線などの間取りはもちろん大事。ただ、今の使い勝手ばかりを考えた間取り以上に考えるべきはあなたの未来を考えた生活スタイル。
隣家や物理的な問題を除いて私は子供部屋の計画は北面が良いと思います。北面は光の入り方が一定で集中しやすいので勉強するには最適。南面は何かと誘惑が多い。
家を建てるときの大切なパーツは柱という木。あなたは南面で育った木と北面で育った木に大きな違いがあるのを知っていますか?
同じ樹種でも実は北面で育った木の方が強いのです。木は厳しい環境に適応しながら成長していきます。寒い北面の木の方が木目が詰まって強い柱になります。
私は子どもも同じだと思っていて。条件が厳しい方が我慢強く、根気強く、芯が強く、生命力の強い人間に育つのではないでしょうか?
子ども部屋は家づくりの大切なテーマの一つ。ただ単にパズルのように当てはめる間取りではなく子どもの生活環境を考えた上からのふかんで見て一度じっくりと考えてみてくださいね。