静岡市のファイナンシャルプランナー、住宅ローン相談・住宅購入専門FPが都会より静岡移住の方がお金がかかるについてお伝えしますね。
「日本一の富士山と日本一深い駿河湾。海、山、川の豊かな自然に囲まれて程よく田舎。東京・名古屋までは新幹線で約1時間。都心からのアクセスも良く通勤も可能…」
静岡移住の良さをアピールするときによく使われるフレーズ。「県内でしか食べられないさわやかのハンバーグもオススメ！」と食文化もアピールもしていいところですが 笑。
個人的にはさわやかのハンバーグは主に浜松(西部)中心の文化で静岡全体の文化ではないような気が…。他の都道府県からすると静岡県と言ったら静岡はすべて一括りだと思います。
でも、静岡県は西部・中部・東部の3つに横に長く分かれているので気候、文化、風習、食などの違いはたくさんあるはず。
『一番のメリットは住みやすい』
約50年静岡県中部在住の私。静岡は気候が穏やかで間違いなく住みやすいと思いますね。真夏は暑くなる日もあるけど東京や名古屋と比べると夏は数度涼しいし冬は数度暖かい。
先日の台風では想定外の雨量で停電や今も続く長期間の断水、山間部では土砂崩れなどの災害が出てしまいましたが…。
海も山も川もある静岡は自然が豊か。都会のように遊ぶ場所はないけどすぐ近くに自然があるので登山やキャンプ、釣りや海水浴などのレジャー。熱海、伊豆などの温泉街も近くプチ旅行にも適しています。
特に子育てでは自然で遊ぶことを覚えさせるのはすごく重要だと思うので。子育て世帯が都会から静岡に移住することは抜群の環境ではないでしょうか。
『デメリットは経済的ではない』
「田舎暮らしは都会暮らしより物価も安く、娯楽も少なく、教育費もかからなくて経済的」などと一般的には言われます。でも、私はまったく逆だと思っていて。むしろ静岡移住のような田舎暮らしの方がお金がかかると思いますね。
『日本で暮らす生活費の平均』
総務省統計局が2020年2月に発表したデータによると。日本全国の一般的な家庭で2人以上の世帯の生活費の平均は月293,379円。
人口が集中している都会の生活費が平均を押し上げているので静岡で月に約30万円の生活費が必要というわけではありません。
次に、「フィデリティ退職・投資教育研究所」が調査した全国主要都市の平均的な生活費を物価指数で見てみると。
東京都での生活費が月30万円とした場合、同じ生活水準での生活費は静岡市で月28.3万円。月28.3万円には車の購入費、車検、税金、ガソリン代、自動車保険料などの自動車購入費用や維持費は含まれていません。
ということは車の購入費や維持費を月の出費に加えると月の生活費は静岡市は東京都を上回ってしまうのです。静岡は車社会なので最低でも1台は必須。夫婦共働きで2台持ちの家庭が多いですよね。
『地方は大学費用がかかる』
仮に月の生活費を上手にやりくりをして東京都より生活費が少なかったとしても。田舎暮らしの子育て世代にとって大学進学費用が家計にかなり重くのしかかってきます。もちろん、学費は都会でも田舎でも平等にかかります。
違うのは下宿代。子供が大学進学を視野に入れた場合、田舎暮らしは大学の選択肢が少ないので子どもは地元を離れて東京などで一人暮らしをすることになります。ということは下宿代は必須。
東京私立大教連が首都圏の私立大学(短期大学も含む)の新入生を対象とした「私立大学新入生の家計負担調査(2020年度)」によると仕送りの平均額は月82,400円。
月約8万円ということは4年間で384万円で約400万円とします。仕送りの金額だけで400万円。車の購入費や維持費をさらに足すと都会より地方の方がざっくり約1,000万円以上も余計にお金がかかる計算です。
もし、より高いレベルの教育を求めるとなると塾以外にも家庭教師代などでさらに教育費全体が増えることに…。
『子育て世代の地方暮らしは要注意』
「田舎暮らしは都会暮らしより物価も安く、娯楽も少なく、教育費もかからず経済的である」と言われがちですが。上述のような理由から実際は都会より田舎暮らしの方が断然お金がかかると思います。
「野菜やお米は農業で時給自足の生活をする」「老後は夫婦2人で静岡移住する」ということであれば田舎暮らしの方が経済的だと思いますが車の購入は必須。
「田舎暮らしは都会よりお金がかかる。特に子育て世代は要注意！」ということを田舎暮らしに憧れている人は理解しておいて欲しいです。
だからこそ。「田舎暮らしに憧れている」「静岡移住を目指しているけどお金のことが心配…」という人は適正な住宅購入予算やローン借入額を間違えて欲しくありません。身の丈以上の住宅ローンは教育費の負担をさらに重くしてしまうことになるので。
