静岡市のファイナンシャルプランナー、住宅ローン相談・住宅購入専門FPが離婚と住宅ローンの密接な関係についてお伝えしますね。
「家族以外にほとんど伝えてないけど去年離婚したんですよ…」「まだ、一緒に住んでますけどね…」数か月前に昔からの知人である40代男性Yさん、50代男性Kさんから立て続けに言われた一言。
2人とも結婚生活は約20年。40代Yさんは高校生と大学生の子ども2人、50代Kさんは子どもなし。今どき離婚自体は珍しくないですが。去年、離婚届を出したけど奥さんと今までと変わらずに同居している。
あなたは離婚した夫婦がなぜ一緒に暮らし続けていると思いますか?実は珍しいことではありません。ある共通する理由があるのです。もしかしたらあなたの周りにも同じような人がいるかもしれませんよ。
『同居の理由は様々』
よくある離婚の原因として、「浮気、不倫、DV」「性格の不一致、価値観の違い、嫁姑問題」などがありますよね。
でも、離婚しても夫婦で住み続ける理由は様々。一番多いのは「子どもため」でしょう。その他、世間体などもあるかもしれません。夫婦には夫婦にしかわからない家庭の事情があるのだと思います。
法律上は離婚した夫婦が別居しなければならないルールもありません。なので離婚しても一緒に生活することは何も問題はありませんが・・・。
一般的に離婚するというのは何かしらの理由で夫婦仲が破たんするわけで。夫婦ではなくなったのに今までと変わらず同居を続けるのはなぜなのでしょうか?
『住宅ローンの問題』
YさんもKさんも離婚後も奥さんと同居している最大の理由は住宅ローンの問題。Yさんは6,500万円のマンション、Kさんは奥さんの実家を建て替えて4,500万円。住宅ローンを夫婦で2本で組んでいます。
業界用語ではペアローンといってペアローンはお互いがお互いの連帯保証人になります。夫婦で会社員や公務員、収入があるので夫婦で2本で住宅ローンを組んでいる人は珍しくないですが。
離婚するときにはとても厄介な難しい問題を抱えてしまうことになるのです。
『別居したいけどできない不安』
例えば、夫のみで契約した住宅ローンなら離婚した場合、「妻が出ていく」(妻に経済力があれば)または、「夫が出ていく」ことで話は終わり。どちらにしても夫が住宅ローンを払い続けるだけで面倒なことはありません。
離婚後、ペアローンを夫のみ1本の支払いに変更することはできるのですが。事務手数料がかかる。ペアローンで組んでいる妻も書類を用意したりなど金融機関で面倒な変更の手続きが必要。
ペアローンのままで夫が出て行き、住宅ローンがある家に元妻が住むことはできるのですが…。
「いつ旦那分のローン返済が滞るかわからない。元旦那は自分のアパートの家賃も払いながら養育費も一緒にしっかり払ってもらえるのだろうか…」など。元奥さんからしたら大きな不安が拭えない可能性が。
最初から夫のみで住宅ローンを組んでいるケースなら離婚時も面倒な手続きはありません。でも、夫婦2本立てで住宅ローンを借りている場合だと。離婚後もお互いに返済しなければならない。
別居するにしてもどちらかは自分が住んでいない家の住宅ローンを返していくことになる。「こんなはずじゃなかった!」となってしまうのです。
『ペアローンは慎重に』
家を買うとき建てるときに将来、離婚を考えて購入する人はいませんよね。「絶対に離婚なんかしない」と思って家を買うはず。でも、「数年後、十数年後、二十年後に離婚…」というケースが多いのも現状です。
日本では「約2分に1組」が離婚しますから。住宅ローンと離婚の問題は密接に関係するのです。ペアローンは、「借入額が増やせる」「住宅ローン減税で税金の戻りがお互いあるからお得」という人も多いのですが。
ペアローンのような住宅ローン問題、金銭的な理由で離婚(別居)できなくなってしまうことの方が精神的なデメリットが大きいのではないでしょうか。
住宅ローンをペアローンで借りること自体は構いません。でも、将来の離婚リスクがあることも踏まえて住宅ローンの借り方、借入額は慎重に。会社の業績不振による収入減、仕事を辞めた場合の収入減も大きなリスク。
住宅ローンは出来る限り夫または妻どちらかひとりで借りておいた方が無難だと思いますね。旦那さんだけの収入で借りられる額に収めておかないと子どもの成長と共に家計の負担が一気に増えていくだけ。
最初から離婚を考えて家を買う建てる夫婦はいないと思いますが。もしもの離婚リスクに備えるためにも家計に適正な購入予算を考えるのは非常に重要なことではないでしょうか。