静岡市のファイナンシャルプランナー、住宅ローン相談・住宅購入専門FPが住宅ローン40年返済がアリな人についてお伝えしますね。

「Kさんの今の家計ですと40年返済もアリかもしれません…」先日、相談者さんにあまりすることのないアドバイスをしました。

「40年返済って?35歳でスタートしたら完済は75歳だよ。ありえなくない?退職後も住宅ローンを返していくなんて…。本当に大丈夫?」と言われそうですが…。

確かにそうですよね。私もそのとおりだと思います。一般的には今の住宅ローンは40代前半までなら35年返済でスタートが主流。

でも、私はKさんのような家庭、家計状態は、「40年返済が最適かも」と思っています。どのような家庭かというと…。

『20代で子どもが3人以上』

Kさん夫婦は20代半ばで世帯年収は380万円。月の手取りは約19万円で小さなお子さんが3人。奥さんは専業主婦で数年後にパートで月5~6万円働く予定です。

つまり、20代で収入が多くはなくて子どもが3人以上など。教育費の負担が明らかに大きい家庭は35年返済より40年返済の方が合っています。なぜなら、月々の住宅ローン返済を少しでも減らせるからです。

年収380万円で35年返済、今の変動金利で借入限度上限まで借りると約2,500万円借りられます。月々は約66,000円。40年返済にすると月々約58,000円で約8,000円下がります。

年収に対してマックスまで借りるのは家計負担が大きすぎてダメなのですが…。40年返済にすることで家計の負担が少しでも軽くなります。数年なんとかやりくりできれば奥さんが月に5~6万円収入を得られる。

旦那さんも数年後または30歳くらいまでに転職して今より年収を100万円アップすることも十分に可能。最初は借りすぎだった住宅ローンが家計に無理のない支払いになり貯金も教育費も貯めることができるのです。

『40年返済のメリット』

40年返済が可能な銀行は全国的にはまだ少ないのですが…。40年返済は今の時代に合った返済方法と言える理由がいくつかあります。ひとつは住宅価格の高騰です。

10年以上前は3,000万円で買えた注文住宅が5年前には3,500万円出さないと買えなくなり。さらに今は4,000万円以上出さないと買えなくなってしまいました。

例えば、3,500万円を今の変動金利0.6%で35年払いだと月々92,410円。4,000万円を0.6%で35年払いだと月々105,611円で10万円を超えてしまいます。

10万円を超えてしまうのは返済する方としても心理的なハードルが上がってしまいますよね。でも、40年返済にすると93,753円で35年返済と変わらない額で心理的なハードルも下がります。

家を売る立場の住宅営業マンも10万円を超えない方が都合が良い。お客さんが買いやすい心理になるよう40年返済を提案するケースが増えてきているのも事実です。

ただ、私としては20代または30歳くらいまでの収入が多くはない、後々世帯収入のアップが見込める家庭だけが40年返済もアリなだけで基本は35年返済までがいいと思いますね。

「住宅価格が高すぎて40年返済にしないと返していけない…」というのは身の丈ではなく背伸びしすぎの借りすぎな可能性が高いですから。

『返済年数に正解はない』

FPでも定年退職や65歳までに返済できるように期間設定を短めに進める人も多くいます。でも、私はどちらかというと否定派。

理想だけいえば早く返し終わることに越したことはないかもしれません。損得だけでいえば早く完済するのがいいでしょう。

でも、住宅ローンは長期の支払い。収入が減る、働けなくなるなど。途中で何が起きるかわからないので損得で考えてはいけないのです。返済期間を短くすれば利息は少なく済みますが月々の返済額は上がります。

ざっくりですが35年返済で月々約8万円の支払いを20年返済にすると月々約13万円、35年返済で月々10万円の支払いを20年返済にすると月々約17万円に支払いが一気に増えます。

十分支払える家計の体力があれば構わないですが。住宅ローンが早く終わる代わりに20年の間は家計がカツカツになってしまう、色々と我慢せざるを得ない家計になってしまう可能性が高いのではないでしょうか。

『住宅ローンは入口ではなく出口』

「家計がギリギリだから変動金利なら払えるかも…」「35年だと厳しいから40年返済にして負担を軽くしよう!」という考えの人はヤバいです。

住宅ローンは入口ではなく出口。出口までを考えて40年返済を選ぶならいいと思います。「返済年数は短ければ良いわけではない」というのが持論ですが。長ければ良いというわけでもありません。

適正な住宅ローン額、返済方法は家庭ごとにまったく違いますから。自分たちの人生設計、収入と今後のあらゆる支出がどのように推移していくか?を把握していなければベストな借り方は選べません。

将来までの収入、支出、貯金額の推移などをシミュレーションして判断しなければ家計に適切な住宅ローンの返済方法を導き出すことは難しいということなんです。

あなたの資金計画は出口までを考えた家計に適正な住宅ローン借入額になっているでしょうか?住宅ローンの返済計画はゴール(出口)から逆算して考えられているでしょうか?