静岡のファイナンシャルプランナー、住宅ローン相談・住宅購入専門FPが離婚で住宅ローンが払えない…についてお伝えしますね。
「今までも余裕はなかったけど…。住宅ローンが2万円急に増えてからは毎日がカツカツで…」GWにお会いした56歳のMさん。Mさんは35歳のときに奥さんの実家を大手ハウスメーカーで二世帯住宅に建て替え。
35歳当時の年収はMさんが約400万円、奥さんが約750万円。住宅ローンは35年返済の70歳完済予定。夫婦で8万円ずつ、いわゆるペアローン(共有名義)で月16万円の支払い。
3年前の53歳で離婚後、Kさんの支払いは2万円増えて月10万円に。56歳の今の年収は約430万円。35歳当時とあまり変わりません。
車のローンが月3万円で住宅ローンと合わせて月13万円。スマホの分割払いやその他のローンも重なるときがあり毎月の家計は常にローン地獄。ローン返済だけで月の手取り額の6割以上。
その他の支出を含めると毎月3~4万円の赤字、ボーナスでなんとかやりくりして年間の収支はわずかにプラスという状況。
離婚という想定外の出来事があったにしても。「給料が上がっていない」「急激な物価上昇」などの要因も重なってMさんは住宅ローンを払っていくのが今かなり苦しい状態…。
『今後、住宅ローン破産の可能性』
離婚でMさんの住宅ローンが2万円急に増えたのは元奥さんが実家を出て行ったから。元奥さんの80代半ばのお母様は御健在で実家住まい。元奥さんは住んでいないのに住宅ローンを払いながらの賃貸生活。
「自分が出ていくのと引き換えに住宅ローン返済額を減らして…」という話に。元々、家計に余裕がなかったMさん。
保険の見直しをしたり格安スマホに変えたり…。でも、急激な物価上昇で家計の負担は計り知れません。2万円増えた住宅ローンが今、人生を狂わせてしまうほどの状況になっています。
「給料が上がっていない」「夫婦の財布が別々で自由にお金が使えた」「Mさんが生活レベルを落とせなかった」「急激な物価上昇」など。
内的、外的要因がいくつか重なって家計が苦しくなってしまったわけですが。Mさんの家計が苦しくなった最大の原因は…。
『住宅ローンの借りすぎ』
住宅ローンの借りすぎ、正確に言うとペアローン額の借りすぎ。夫婦の収入を合わせて1本ずつ借りるペアローン。問題なのはペアローンの割合を大きく間違えてしまったこと。
住宅ローン借入当時の年収はMさん400万円、妻750万円と倍近くの差なのに…。8万円ずつ折半したのが大きな間違い。夫婦の収入差を考慮せず半分ずつの支払いにしてしまうのは一番やってはいけないこと。
「元奥さんの実家の建て替えで土地代がかからない」「生活費は元奥さんが多めに払う」など。夫婦間の決め事で収入差に関係なくペアローンは夫婦で半分ずつの割合にしたのですが…。
収入が少ないMさんの住宅ローン負担があまりにも大きすぎるのです。なぜなら、ペアローン(共有名義)はお互いがお互いの連帯保証人。離婚や収入減」どちらかが払えなくなる、その他の不測の事態など。
ペアローンを組むならリスク対策を兼ねてお互いの収入割合に応じて住宅ローンの借入額を設定しておくのが鉄則。不測の事態が起こればMさんのようにかなり苦しい家計状況に陥ってしまうからです。
『今後は離婚リスクも考慮』
今や日本の離婚率は約35%で3組に1組以上が離婚する世の中。もし、離婚することになった場合に住宅ローンのペアローン(共有名義)を解消するのはかなり難しいこと。
仮にどちらかが出ていくとして。住み続ける予定の夫か妻のどちらかにローン(名義)を一本化しようとしても…。2人の収入で借りた額を1人で背負うには当然ながら銀行の審査が厳しくなるのです。
そもそも1人で借りるよりもたくさん借りられるから夫婦2人で借りたのに…。ペアローンを解消しようとするのはほとんどのケースで不可能。
ローンの残債にもよりますが残りの残債をどちらか一方がすべて負担するのは難しいです。結果的に離婚が成立しても連帯保証人から外れることができない。離婚しても連帯保証人は連帯保証人なのです。
住宅ローンの返済期間は35年の長期間。離婚リスク以外にも妻が出産や育児で休職、または退職で収入減。他には金利上昇や物価上昇のリスクなど。様々なデメリットを借入時に理解しておかなければいけません。
住宅ローンを借りるときに離婚することを考える夫婦はいないでしょう。でも、住宅ローンをペアローンで組みたいなら?様々なリスクやデメリットがあることをあなたは想定できているでしょうか?
『住宅購入の失敗は致命的』
離婚という想定外の出来事があったとしても。マイホームにかける予算を大きく間違えてしまったMさんは住宅ローン破産予備軍。
ほとんどの人は銀行で「借りられる額」で住宅ローンを組みます。銀行も借りられる額までお金を貸してくれる。つまり、年収に対していくら借りられるか?の考え方。
でも、住宅ローンを長期で返していくのは簡単なことではありません。銀行の審査がOKだからといって「借りられる額」で住宅ローンを組むのは危険すぎる行為で大きな間違い。
つまり、住宅ローン借入も年収ではなく月の手取りの金額、月の支出や教育費、今後に想定されるであろう大きな出費を考慮する。「返していける額」で設定しないと毎日の家計を大きく圧迫してしまいます。
「住宅ローンの借りすぎ」というお金の失敗・後悔は取り戻すことができません。
『適正な住宅購入予算を間違えない』
あなたがMさんのような家計状況に陥ってしまわないためにも。「家が欲しい!」と思ったら?年収ベースで借りられる額で住宅ローンを考えては絶対にダメ。
年収から社会保険料などの引かれるお金を除いた。あなたが実際に使える手取り収入と今後やってくるであろう様々な支出をしっかりと把握することが何よりも重要。
そして、家計に無理のない住宅購入予算額、無理なく返していける住宅ローン額を導き出してから建築先や土地探しを進めていくようにしましょう。
家を建てるにはかなりのお金が必要。建てたあともたくさんの維持費がかかります。「住宅ローンを払いながら教育費を貯めながら老後資金も貯める」3つを同時にやっていかなければならないのです。
無理して身の丈以上の住宅ローンを借りてしまえば日々の生活は苦しくなるばかり。趣味や旅行などプライベートの楽しみをガマンするしかありません。
家が欲しいと思ったらまずは無理のない資金計画から。間取りやデザインを考えるのは二の次ですよ。