静岡のファイナンシャルプランナー、住宅ローン相談・住宅購入専門FPが12月に住宅会社と契約をしてはダメな理由についてお伝えしますね。

1年で毎年12月に1番増えるもの。何かというと交通事故。「日が短くなって暗くなるのが早い」「歩行者や自転車の発見が遅れる」「年末にかけて交通量が増える」「慣れない道を走るドライバーが増える」など。

12月に交通事故件数が最大になるにはいくつかの理由があります。同様に住宅業界も12月(11月くらいから)は住宅会社との建築請負契約が一気に増えます。

「今、契約をすれば3月中に家が完成するので4月から新居に住めますよ!」という営業トーク。新年度から新居で暮らせるなら購入者側にメリットがあるように思いますが…。私だったら絶対に契約はしません。

『12月の建築契約はダメ!』

12月の住宅業界は特に大手ハウスメーカー(中堅メーカー含む)の着工棟数が急激に増えてくる時期。今からだと12月着工で3月の引渡しという流れ。でも、12月の住宅会社との契約は十分注意して欲しいことがあります。

ハウスメーカーでは一般的な工程ですが建物の規模によっては12月着工(工事開始)で3月の引渡しは簡単なことではありません。

12月から1月にハウスメーカーの着工棟数が特に増えるのは特別な理由があるんですね。あなたはなぜかわかりますか?

『良い家造りよりも売上重視』

答えはハウスメーカーは3月決算に向けて目標売上を達成したいから。通常、地元の工務店の場合は工事期間は短くても4ヶ月。5か月6か月も普通で理由は1棟1棟丁寧に仕事をしていて着工棟数は追いかけていません。

一方でハウスメーカーが3月引渡しをして売上を3月決算に間に合わせるには12月に工事をスタートするのが必須になってきます。たった3ヵ月で家を完成させる必要があるんですね。

中には、「1月に着工!3月引渡し!」という超強行現場も普通にあります。ということはお客さんと12月中に契約を交わさないと1月から工事がスタートできません。

『値引きのお得感に騙されるな』

3月決算に間に合わせるためには営業マンから、「3月引渡しにしていただければ工事費用を大きく値引きします!」という話が出てきます。300万円は普通で400万、500万円を値引きするという営業トーク。

値引きトーク自体は年中行われていることですがよく考えてみてください。値引きを別の言い方にすると、「今月、家を契約してくれたら300万円400万円の車をプレゼントします!!」と言っているのと同じこと。

「家を契約したら300万円400万円の車をプレゼント!?」なんてことは絶対にあり得ません。「最初の見積もりは一体何なの?」ということになりますよね。

300万円400万円以上の大幅値引きは最初の見積りにあらかじめ値引き分を上乗せされたパフォーマンス。値引きをする理由は「お得感を演出して契約を取るため」「購買意欲を高めて契約を取るため」に過ぎません。

『誰のためのマイホーム?』

以上のようなことから「3月引渡しにしていただければ工事費用を大きく値引きします!」という営業トークはものすごく危険です。

最初から限られた工期なのにさらに短期間の工事は現場の職人さんの負担が増えるだけ。いつもより長時間労働、休日返上での作業、職人さんの数を増やすなど。

通常より無理をさせる急がせる仕事は現場は雑な作業、雑な仕事になります。基礎や壁のひび割れ、雨漏りなど…。結果的に欠陥住宅の可能性も否定できません。

仕事量がいつもより増えても職人さんのお給料が変わるわけではありません。3月引渡しに間に合わせるためには丁寧に仕事していてはとても間に合わないのです。

つまり、一番のデメリットを受けるのは職人さんに丁寧に仕事をしてもらえるかわからない家を建てるあなたです。あなたは自身の現場を雑に仕事してもらいたいですか?絶対イヤですよね。

大手ハウスメーカーは直接は家を建てません。営業マンが建てるわけでもありません。地元の下請けの工務店さんや職人さんたちが一生懸命造っているのです。

ほんとに大切なことは、「どこの会社にするのか?」を考えるより「誰に任せられるか?」「信頼できる人探し」の方がずっとずっと大切。

「3月引渡しにしてくれたら…」というのは売り手の身勝手な一方的な都合。お客さんにはまったく無関係です。

甘い言葉には必ず裏があります。間違っても売り手都合で急いで契約しないよう気をつけてくださいね。焦って急いで契約してもあなたに何一つメリットはありませんから。

(11月12月に住宅会社と契約をしても家の工事開始が2月3月以降など。余裕のある工期スケジュールの場合の場合を除く)